「丁寧に焙煎したこのコーヒー、色んな人に飲んで欲しい」「趣味のお菓子作りを活かして、ケーキ屋兼カフェを開きたい」など、カフェの開業(yè)を夢見ている人は、意外と多いのではないでしょうか？
ただ、気になるのは、內(nèi)裝工事や必要な設(shè)備の購入にかかる資金。さらに、住まいが賃貸物件の場合は、新たに店舗用の物件を借りると家賃が二重にかかることに…。だとしたら、マイホームを手に入れるという夢も一緒に実現(xiàn)させて、居住スペースと併設(shè)のお店を開くというプランを検討してみるのも一考です。
そこで今回は、自宅でのカフェやサロンの開業(yè)支援を行っている稅理士の酒井麻子さんに「テナントを借りてカフェ開業(yè)」と「自宅でカフェ開業(yè)」で、費用面、経営面などにどのような違いがあるのか、お話を伺いました。
「テナントでカフェ」と「自宅でカフェ」初期費用はどれくらい？
テナントでカフェと自宅でカフェを開く場合の初期費用比較
まずは初期費用を具體的に考えてみましょう。
上の図は、カフェの開業(yè)にかかるおもな費目と利用できるローンを示したものです。
酒井さん VOICE
「テナントでカフェを開業(yè)する場合、賃貸借契約を結(jié)ぶ際に家賃の6～10カ月分の保証金を預(yù)ける必要があります。廚房を簡素化できるカフェの場合は、內(nèi)裝費と設(shè)備費との合計で1,000萬円未満に抑えられることができるでしょう。さらにそこも節(jié)約となれば、DIYで出費を極力抑えることも可能です。しかしながら、それでも保証金と合わせればかなりまとまったお金がかかることになります。足りない場合は、日本政策金融公庫などの金融機関に事業(yè)計畫を提出し、事業(yè)資金として事業(yè)用ローンを組むのも一つの手でしょう」
マイホームを建ててその一部をカフェにする場合、酒井さんによれば、內(nèi)裝費や設(shè)備費は「テナントでカフェ」のケースとさほど変わらないそうですが、住居部分も新築するため、當(dāng)然ながら総額は大きくなります。
ただ、店舗が併設(shè)された住居を新築する場合、事業(yè)用ローンに加えて、住宅ローンを組んで資金面をカバーすることも可能と酒井さんは言います。
酒井さん VOICE
「居住スペースが全體の2分の1以上を占めていれば、その部分については事業(yè)用ローンよりも金利がかなり低い住宅ローンを組める可能性があります。夫婦のどちらかが會社勤めを続けていれば、住宅ローンの審査も通りやすくなりますし、月々の返済もさほど心配する必要はありません」
テナントを借りる場合、家賃の目安はどう考えれば良い？
なお、テナントを借りてカフェを開業(yè)する場合、賃料の相場は、地域や交通の便などによって大きく異なってきます。また、同じエリアでも物件ごとに少なからず違いがあるものです。誰しも好條件の物件を求めているでしょうが、おのずとそういったものは家賃も高くなります。酒井さんによれば、家賃にかけられる予算は、期待できる売上から推測していくのが無難なのだそうです。
酒井さん VOICE
「昔から飲食業(yè)では、“3日分の売上＝適正な家賃”と言われてきました。たとえば1日あたり5萬円の売上を見込めるなら、家賃が月々15萬円以內(nèi)の物件を選んだほうが良いということになります。ただし、住まいも賃貸の方は、さらに住居の家賃もちゃんと払える狀況にしなければいけません。そのため、夫婦のどちらかが會社勤めを続けてその負(fù)擔(dān)を擔(dān)い、片方がカフェを経営するといったパターンが一般的かもしれません」
「テナントでカフェ」と「自宅でカフェ」ではランニングコストの考え方も違う
酒井さんによれば、ひとくちにカフェ営業(yè)と言っても、「テナントでカフェ」と「自宅でカフェ」では、経営に対する考え方が変わってくるのだとか。上の図は、テナントでカフェと自宅でカフェを営業(yè)する場合の売上の內(nèi)訳を表にしたものです。
酒井さん VOICE
「テナントでカフェを営業(yè)する場合、家賃以外の支払いもあるので、家賃分の3日間だけの繁盛ではカフェの経営は難しいでしょう?！?日分の売上＝適正な家賃”と言うのは、あくまで1日平均売上5萬円で30日間営業(yè)した場合。1か月の売上の10％を家賃、それ以外が原価?人件費?経費、殘りが利益となるのが理想形です。このように、諸経費のほかに、月々の家賃、事業(yè)用ローンの返済があるテナントでカフェは、毎月安定した売上が求められます。そのため、1日の目標(biāo)売上を達(dá)成するための客単価や必要な座席數(shù)などを細(xì)かくシミュレーションする必要があります。たとえば、ドリンクのみだと數(shù)百円の客単価になりますが、フードも提供するとなれば、1,000円程度の客単価が見込めます。1人當(dāng)たり1,000円であれば、1日に50人の來店で5萬円の売上を達(dá)成できます。ランチの時間帯に2回転程度のお客さんの入れ替わりがあるとすれば、20席あればこなしていけるでしょう。ただ、これはあくまで繁盛している日の見込みで、売上が5萬円をはるかに下回る日も出てくると思います」
逆に、5萬円に遠(yuǎn)く及ばない日が続くとプレッシャーを感じてしまうことに…。
さらにこれに加えて「設(shè)備の故障などといった臨時出費が発生しうることも頭に入れておいたほうが良い」と酒井さんは言います。
その點、夫婦のどちらかが會社勤めを続けて住宅ローンと事業(yè)用ローンの返済資金をコンスタントに稼ぎながらの「自宅でカフェ」は、もっと気楽なスタンスで経営に取り組むことができます。
酒井さん VOICE
「『最低でも賃料分の月々15萬円を稼がないといけない！』といったノルマがないため、12～15席程度で1日5萬円の売上をめざし、それを下回る日が続いてもさほど焦らなくても済むでしょう。ただ、カフェ部分の內(nèi)裝費や設(shè)備費などを工面するために事業(yè)用ローンを組んでいた場合は、その月々の返済額が売上の月間売上の最低目標(biāo)となります」
競爭は思った以上にシビア！続けやすいのは「自宅でカフェ」
酒井さんによると、実はカフェの経営は想像以上にシビアなのだとか…。上の図は、「テナントでカフェ」と「自宅でカフェ」について、廃業(yè)した場合にかかる費用の內(nèi)訳です。
酒井さん VOICE
「私がこれまでさまざまな飲食店を見てきた経験ですと、テナントで営んでいたカフェは、1年で約半數(shù)、2～3年で7～8割が閉店しています。コンスタントに家賃＋諸経費を超える売上を稼ぎ続けるのは、簡単なことではありません。おまけに、引き払う際には、原狀回復(fù)（內(nèi)裝や設(shè)備の撤去）のために100萬～200萬円の資金がかかります」
その點「自宅でカフェ」の場合は、もう少し趣味に近い感覚で続けられるうえ、萬が一廃業(yè)した場合も、カバーする方法があると、酒井さんは言います。
酒井さん VOICE
「自宅にカフェを併設(shè)することは、ビジネスよりも趣味の感覚で続けることができます。私の身の回りにも、乳幼児を子育てしている期間中だけ休業(yè)して、一段落したら再開するといったカフェの経営をされている方も増えています。住居スペースと店舗が近いので、子育てしながらマイペースに続けられるのが、自宅でカフェを開くメリットだと思います。また、廃業(yè)してしまった場合も、店舗の部分は持ち主の資産になりますから、テナントとして貸し出すことで、事業(yè)用ローンの返済に充てることも可能です」
カフェを開業(yè)したいと考えている方の多くは、利益を得ること以上に、自分がいれたコーヒーやお茶を美味しそうに飲んでもらうことに喜びを感じている方が多いのではないでしょうか。
だとしたら、売上の確保に必死にならず、マイペースで長く続けられやすい「自宅でカフェ」は、現(xiàn)実的な選択肢となってきそうです。
まとめ
- 開業(yè)資金については、「テナントでカフェ」は事業(yè)用ローンのみであるの対し、「自宅でカフェ」は、事業(yè)用ローンと住宅ローンを併用することができる
- 「テナントでカフェ」は、賃料の支払いや事業(yè)ローン返済のためにコンスタントにノルマを達(dá)成する必要があるのに対し、「自宅でカフェ」は、持ち家での営業(yè)なのでノルマに追われることなく、マイペースな経営が可能
- 廃業(yè)した場合、「テナントでカフェ」は原狀回復(fù)費がかかるのに対し、「自宅でカフェ」は店舗部分をテナント物件として貸し出すことができるため、資産としての運用ができる
執(zhí)筆者
酒井麻子さん
酒井稅理士事務(wù)所 代表稅理士
稅理士事務(wù)所でキャリアを積んだ後、孤獨になりがちな経営者の相談に乗りたいとの思いから獨立。カフェをはじめとした店舗経営に特化したサポートを行っているほか、女性を?qū)澫螭巳の钉浠顒婴蚴聵I(yè)へとステップアップするためのセミナーや勉強會を開催している。
文：大西洋平?。懻妫篏etty Images
