近年、健康意識の高まりとともに、「睡眠」の大切さに注目が集まっています。
限られた睡眠時間の中で、ぐっすり心地よく眠るために、
どのような工夫ができるのでしょうか。
睡眠行動科學(xué)を?qū)熼Tに研究する東京家政大學(xué)教授の岡島義さんと
大和ハウス工業(yè) 総合技術(shù)研究所の荒井良太が語り合いました。
Profile

東京家政大學(xué)教授
岡島 義(いさ)先生
臨床心理學(xué)博士?公認心理師
東京家政大學(xué)人文學(xué)部心理カウンセリング學(xué)科教授。専門は睡眠行動科學(xué)、認知行動療法、臨床心理學(xué)。神経研究所睡眠學(xué)センター研究員、東京醫(yī)科大學(xué)睡眠學(xué)講座助教、睡眠総合ケアクリニック代々木主任心理士、早稲田大學(xué)人間科學(xué)學(xué)術(shù)院助教などを歴任。睡眠障害に対する認知行動療法の教育?臨床?研究の第一人者として、不眠癥改善や睡眠負債解消に関する研究成果を幅広く発信している。

大和ハウス工業(yè)株式會社 ハウジング?ソリューション本部
技術(shù)統(tǒng)括部 技術(shù)開発部 住宅技術(shù)研究所 住生活研究グループ
荒井 良太
認定人間工學(xué)準専門家
大阪工業(yè)大學(xué)大學(xué)院ロボティクス&デザイン工學(xué)研究科卒業(yè)後、大和ハウス工業(yè)入社。総合技術(shù)研究所にて高齢者の認知機能に関する研究に従事。その後、住宅技術(shù)研究所で睡眠研究を立ち上げ、現(xiàn)在は快適な睡眠を構(gòu)築するための住宅環(huán)境の研究に攜わる。
真夜中でも島全體が明るい「眠らない日本列島」

――まずは岡島さんから、現(xiàn)代人を取り巻く睡眠環(huán)境の現(xiàn)狀についてお聞かせください。
岡島さん:現(xiàn)代社會の夜の課題の大きなものとして挙げられるのが「明るさ」です。特に日本はどこにいても明るい時代。インターネットで「夜間の世界の明るさ」を検索すると畫像を見ることができますが、日本は日本列島の形がはっきりわかるほど全體が明るいです。夜遅くまでコンビニなどの店が開き、街路燈も完備されていることは、利便性や治安という點では大事なことですが、睡眠という軸で考えると、眠りに向かう環(huán)境を自分でつくらなくてはいけない時代といえます。
荒井:その點で、私たちの會社は住環(huán)境からお客さまをサポートする立場にあります。「日本列島が夜でも明るい」というお話、住まいの中でもまさにその傾向があり、特に近年の日本の住居は夜も家全體が明るいという設(shè)計になっている場合が多いです。しかし、家は「起きてアクティブに生活している時間」だけでなく「良い眠りに向けてくつろぐ時間」「良い眠りを得る時間」も考えて設(shè)計することが健康のためにも大切です。
岡島さん:そうですね。「眠れない」という課題を抱えている方は非常に多いのですが、睡眠行動科學(xué)の観點からいえば、寢ること自體を目的にするのではなく、「何のために寢るのか」を考えることが重要です。睡眠不足になると情緒不安定になったり、體の不調(diào)が生まれたりといった問題が起きやすくなります。その結(jié)果外に出られなくなり、ますます眠れなくなるという悪循環(huán)が起きる。このような悪循環(huán)を斷ち切るためには、まず睡眠を改善することが心身の不調(diào)を改善するための近道なんです。
深部體溫を下げ、精神的な興奮を抑えることが入眠への近道

荒井:具體的にはどのような改善方法があるのでしょうか?
岡島さん:睡眠の改善には時間栄養(yǎng)學(xué)、時間運動學(xué)、そして睡眠環(huán)境の改善などさまざまなアプローチがあります。環(huán)境でいうと「覚醒度を下げること」「深部體溫を下げること」「精神的な興奮を抑えること」がポイント。覚醒度を上げたり、精神的な興奮を引き起こしたりするものは多くあります。例えば、照明の明るさや寢床でのSNS利用、時計の針の音やエアコンの音が気になって眠りを妨げることもあります。

荒井:居室の光に関してはスマートホームの技術(shù)でコントロール可能です。またエアコンは寢る直前に作動させると急激に部屋を暖めるために吹き出し口からの気流や駆動の音が大きくなります。ですから、寢る2時間前くらいから予め運転しておくといいでしょう。寢室の床暖房もおすすめしています。床暖房であれば気流を発生させないため肌が乾燥しにくくなります。また、音のストレスもかなり軽減される上、溫度ムラも起きにくいです。就寢前の溫度環(huán)境は盲點になりがちですが、就寢前に暖かい部屋で過ごすことで寢つきが良くなることが學(xué)術(shù)的に報告されています。

岡島さん:私も個人的には床暖房、大好きです。鼻が少し敏感なので、ハウスダストのリスクが低減するのもうれしいです。頭寒足熱といって足がポカポカしていると睡眠に入りやすくなりますし、入眠は深部體溫の低下とともに進むので、部屋を?qū)嫟肭挨蓼桥幛皮嫟霑rにスイッチを切ったり弱くしたりするのがいいでしょう。
荒井:おっしゃる通り、ハウスダスト対策にもかなり有効であると考えられます。また靜音という點では、防音室設(shè)計もおすすめしています。もともと楽器演奏やオーディオを楽しむ方から防音室のご要望が多かったのですが、最近はこれを?qū)嬍矣盲衰ⅴ欹螗袱贰⑼猡椁悟X音を防ぎながらやすらぐ靜かさを生み出せます。
岡島さん:それはいいですね。防音も大事です。線路沿いにお住まいの場合など、終電から始発までの間しか眠れない、と悩んでいる方もいます。
參考:大和ハウス工業(yè) 音の自由區(qū)?やすらぐ家(快適靜音室)

※數(shù)値は、大和ハウスで測定した數(shù)値(JISA1417:2000 建築物の空気音遮斷性能の測定方法に基づく)ですが、性能値として保証するものではなく、
使用狀況や周辺の環(huán)境、間取りなどにより異なる場合があります。
荒井:外からの騒音を防ぐだけでなく、さざ波のようなBGM(ホワイトノイズ)をかけるといいと聞いたことがありますが、岡島さんはどうお考えになりますか?
岡島さん:ホワイトノイズやピンクノイズは睡眠の質(zhì)を高めるといわれていますから、川のせせらぎや雨の音などの自然音のBGMを小さな音量でかけてみてもいいと思います。私の場合は、ホワイトノイズではありませんが落語を聞きながら寢ることがよくあります。新しい話はつい聞き入ってしまうので、聞きなじんでいる話を選びます。ただ睡眠中ずっと流れていると逆に睡眠の質(zhì)を下げるので、長くとも30分程度でオートオフになるような設(shè)定をおすすめします。
荒井:時計の針の音さえ気になってしまう、という方は、逆に心地よい音や物語が流れていることで針の音を忘れられるかもしれませんね。
自然光が導(dǎo)く、心地よい眠りと目覚めのバランス
岡島さん:専門的には「睡眠?覚醒リズム」といわれるように、睡眠の質(zhì)を上げるためには、眠り方と目覚め方がセットになっています。例えば光も、寢入る時は遮斷されているけれど目覚めの時には太陽光が自然に差し込む、という環(huán)境が理想的。私の自宅の寢室は遮光カーテンを使っていないんです。

荒井:そうですか。実は私も、程よくカーテンを開けて寢るようにしたら目覚めがすごく良くなったんです。少し話は変わりますが、過去の當社の商品で、外側(cè)の窓を最小限にして中庭を設(shè)け、そこから光を取り入れる設(shè)計としたシリーズがありました。入居者さまからは、夜は外部からの光を遮りつつプライバシーを守りながら、朝は自然光を浴びることができ、家族みんなが早起きになったというお話を伺いました。
岡島さん:それは非常に興味深いですね。朝起きられないといった睡眠問題を持つ子どもたちをキャンプに連れていくと、健康的な早寢早起きになるんです。夏と冬の日照時間のリズムも人間の體に意味がありますから、光との付き合い方でいえば、かつての農(nóng)耕社會のような環(huán)境が理想的だと思います。
睡眠を目的にせず、充実した日中の活動を目指して
荒井:なるほど!ところで睡眠空間というのは、開放的か閉鎖的か、心理的にはどちらがいいのでしょうか?
岡島さん:少し閉鎖的な場所の方が外からの刺激が少なく、守られている感覚で眠りやすいと思います。ただこれは一人ひとり異なるもの。音も光も溫度もそうですが、絶対的な正解というものはなく、決めつけないことが大事です。効果が明らかにされていることは前提ですが、まずは試してみて、自分に合いそうなら取り入れる、判斷がつかなければ少し続けてみる、合わないなら別の方法を試す、というように。
荒井:そうですね。睡眠に限らず、私たちが住空間を設(shè)計する際にも、各ご家庭のライフスタイルや価値観は多様で、どのポイントを重視するかはお客さまによって違いますので、唯一の正解はないと実感しています。寢室でも勉強をしたりメイクをしたりするなら、明るさも必要になりますし。
岡島さん:まさに、睡眠の質(zhì)を上げたいのは何のためか、ということを忘れてしまうと本末転倒です。眠りはあくまで手段。「日中こんな楽しいことをしよう、こんな健康な體で過ごそう」という日中のゴールを目的に、睡眠の工夫を考えることが、結(jié)果的に睡眠の質(zhì)を上げるのです。正解を決めつけるのではなく、さまざまな選択肢を知った上で、自分に合うやり方を検証するのが良いのではないでしょうか。

たくさんの選択肢からできることを試してみる

荒井:そうですね。私たちも住まいづくりの観點から提案できることがたくさんあります。先ほど岡島さんからもありましたが、就寢前に足がポカポカしていると入眠しやすくなると言われていますし、逆に足元が冷たいと寢つきが悪くなります。床暖房が採用できない場合でも、簡単な方法としてはサーキュレーターやシーリングファンでゆるやかな気流を作ることにより室溫を均一にできるため、寢つきの悪化を和らげられますし、快適性の向上にも繋がります。また、二重窓にすれば、溫度環(huán)境だけではなく、防音効果も高められるので、睡眠環(huán)境をより良くできます。でも、外部からの音だけでなく、自宅內(nèi)で発生する音にも対策したいですよね。専門的には“吸音率を高める”といいますが、ラグやカーペット、カーテン、ぬいぐるみを置くなどは吸音率を高める効果があります。また明かりも、例えば複數(shù)の照明を用いて、必要な時に、必要な分だけ明るくするということも重要です。
岡島さん:10か0かでなく、そういう選択肢がたくさんあるのはありがたいですね。
荒井:また家族との関係も大事ですね。當社で2年程前に夫妻の寢室について調(diào)査したところ、30代<40代<50代と年代を重ねるごとに夫妻別寢室の割合が増えるという結(jié)果が明らかになっています。こうした背景を踏まえ、パートナーと就寢タイミングが違う方や睡眠環(huán)境に課題を感じる方には、寢室を別にする、ベッドを別にする、1つのベッドでもマットレスを別にするなどのご提案もしています。
岡島さん:末永く仲良く暮らすために大事なことだと思います。実は眠れない方のパートナーの多くはいびきをかいている傾向があります。
荒井:なるほど。ライフスタイルは本當にご家庭ごとに違いますから、住空間も一人ひとりに合わせた工夫が必要ですね。
岡島さん:そうですね。またいくら睡眠環(huán)境が整っていても睡眠に悩みを抱える方もいます。例えば「リベンジ夜更かし」といって、仕事や人間関係がうまくいかないなど日中の生活に満足できていないために、夜中にSNSや動畫を見るなどして充実感を取り戻そうとする方も。寢ている時間と起きている時間は一対になっていますから、寢る時間も起きている時間も心地よく、一人の時間も家族との関係も大切にできるようなあり方を目指したいですね。
荒井:今日のお話を伺って改めて、大和ハウスとしてお客さまの健康のために、住環(huán)境の面から何ができるかを考え、使命感を持って取り組みたいと感じました。
岡島さん:私は良質(zhì)な睡眠のために、荒井さんは快適な住宅のために、皆さんのライフスタイルや本音をしっかり聞いて、良い提案をしていきたいですね。
まとめ
質(zhì)の高い睡眠は豊かな日中につながり、充実した日中の過ごし方が心地よい睡眠をもたらします。夜のやすらぎが日中の活力を生み出し、日中の満足感が夜の安眠をもたらすという好循環(huán)が理想的です。住空間の設(shè)計においても、よく眠れる寢室環(huán)境を目指すことを基本としながら、一人ひとりの生活リズムや感覚の違いに合わせ、光?音?溫度といった環(huán)境要素を柔軟に調(diào)整できる選択肢を持つことが大切。自分と家族に合った快適な空間をつくっていきましょう。









