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自然豊かな伊賀の里山で180余年にわたり
焼き物を生産し続けてきた窯元、長(zhǎng)谷園（ながたにえん）。
伊賀焼の文化の継承や故郷への思い、ものづくりに対するこだわりについて
八代目當(dāng)主の長(zhǎng)谷康弘さんにお話を伺いました。

日本唯一を誇る伊賀の陶土と文化

忍者で有名な三重県伊賀市。四方を山に囲まれた丸柱（まるばしら）地區(qū)に、小さな焼き物の産地があります。唯一無(wú)二のものづくりを追求する長(zhǎng)谷園も、伊賀焼の里をけん引する窯元のひとつです。あるいは長(zhǎng)谷園の名前よりも、「かまどさん」と名付けられた土鍋の方が有名かもしれません。畫(huà)期的な炊飯土鍋としてさまざまなメディアで取り上げられ、長(zhǎng)きにわたって愛(ài)され続けている看板商品です。

土鍋のご飯が美味しいとは知っていても、火加減が難しく吹きこぼれて後始末が大変というイメージが伴うもの。かまどさんはそんな常識(shí)を覆し、手に取った人に驚きと感動(dòng)を與えます。お米と水を入れて中強(qiáng)火にかけ、穴から蒸気が出たら火を止めてしばらく蒸らすだけ。至って簡(jiǎn)単な手順で、至福のご飯がいただけます。

長(zhǎng)谷園の土鍋の強(qiáng)みは、原料となる伊賀の土の特徴にあります。大昔には琵琶湖の底だったそうで、ここで採(cǎi)れる陶土には有機(jī)物がたくさん含まれています。高溫の窯で焼くとそれらが焼失し、気孔のある狀態(tài)に。そのため、耐熱性や蓄熱性が高まり、調(diào)理器具として優(yōu)秀な働きができるのです。

「日本各地に陶磁器の産地はたくさんありますが、地元産の天然の陶土で土鍋を作れるのは伊賀だけです」と八代目當(dāng)主の長(zhǎng)谷康弘さん。産地としての規(guī)模は小さくても、その特徴を最大限に活用するものづくりを誇りに思っておられます。

寫(xiě)真左がかまどさん三合炊き、右が二合炊き

この環(huán)境こそが財(cái)産に

天保3(1832)年、16連房の登り窯を築き、土鍋や土瓶などを生産したことから長(zhǎng)谷園の歴史は始まります。伊賀には良質(zhì)の陶土に加え、窯の燃料アカマツが用意しやすいという利點(diǎn)がありました。以來(lái)200年近くにわたり、時(shí)代に求められる製品づくりが続いています。

六代目の時(shí)代にはビル外裝用のタイル製品がヒット。また、七代目の時(shí)代には陶壁畫(huà)の受注も増えました。バブル期の建設(shè)ラッシュも手伝ってタイル事業(yè)が拡大し、一時(shí)は全売り上げの7割にも及びました。

しかし、1995年、阪神?淡路大震災(zāi)が大きな転機(jī)に。重いタイルを高層階に貼ると地震の揺れが増幅されると報(bào)じられたことから、一気に事業(yè)は後退しました。運(yùn)悪く設(shè)備投資を行った直後でもあり、これで長(zhǎng)谷は終わったと噂されるほど、どん底の狀態(tài)となりました。

その頃、長(zhǎng)谷家の長(zhǎng)男康弘さんは東京にいました。小學(xué)校まで伊賀で過(guò)ごし、実家を離れて市外の中學(xué)に通ったのち、高校、大學(xué)は東京へ。卒業(yè)後は都內(nèi)の百貨店に勤めていました。長(zhǎng)谷園には製造や開(kāi)発の技術(shù)はあるが、世に出す力が足りない。いつか故郷に役立つために流通を?qū)Wぼうと考えていました。

震災(zāi)の2年後、家業(yè)を継いだ康弘さん。江戸時(shí)代からの伝統(tǒng)を終わらせまいと知恵を絞ったところ、目の前にある山の風(fēng)景が心に語(yǔ)りかけてきました。鉄道も通っていない、便利とは言い難い場(chǎng)所。しかし豊かな四季の景色があり、ものづくりの文化がある。この環(huán)境こそが貴重な財(cái)産だと気づいたのです。

八代目當(dāng)主長(zhǎng)谷康弘さん

康弘さんは工房や事務(wù)所として使われてきた歴史ある建物を展示室や休憩室として活用したり、遊歩道を整備して展望臺(tái)を設(shè)けたりして、人を呼び込む試みを始めました。少しずつ他の窯元や地域の飲食店も賛同し、今では毎年5月の窯出し市に約3萬(wàn)人も訪れる観光の場(chǎng)となっています。

斜面を利用して築かれた16連房の登り窯は、下から上へと火が上がる原理を利用して効率良く熱を伝えていくもので、昭和40年代まで活躍。現(xiàn)在も國(guó)の登録有形文化財(cái)として大切に保存されています

炊飯土鍋「かまどさん」の誕生

施設(shè)の整備と並行し、康弘さんは父で先代當(dāng)主の優(yōu)磁（ゆうじ）さんとともに、現(xiàn)代の生活に沿った製品の開(kāi)発にも力を入れました。美味しいご飯を手軽に炊ける土鍋ができれば必ずヒットすると信じて、來(lái)る日も來(lái)る日も試作品を作る日々が続きます。厚みや形狀の違い、土の成分、釉薬（ゆうやく）のかけ方など、検討する事項(xiàng)は多岐にわたりました。

土鍋の炊飯が敬遠(yuǎn)される要因のひとつ、吹きこぼれを防ぐ方法としては二重蓋（ぶた）を考案。重みのある內(nèi)蓋のおかげで、悩みの種だった吹きこぼれを解消することに成功します。開(kāi)発段階では、康弘さんの妻、圭未（たまみ）さんが実際に何度もキッチンで使い、忌憚（きたん）のない意見(jiàn)を提供したそうです。

素?zé)啢螤顟B(tài)で積まれた鍋の蓋。この後釉薬をかけ、本焼きを行います

こうして、火加減いらず?吹きこぼれなしの炊飯土鍋「かまどさん」が2000年に誕生しました。著名な料理研究家が愛(ài)用しているとテレビで紹介したことから人気に火がつき、問(wèn)い合わせのため電話回線がパンクしたというエピソードも。家族で力を合わせて開(kāi)発した新しい商品は長(zhǎng)谷園の窮地を救い、発売から20年を経ても予約待ちの狀態(tài)が続いています。

規(guī)格品を作るのはガス式の窯ですが、小型の登り窯も年に1回は稼働。昔ながらの製法を伝承する機(jī)會(huì)を設(shè)けています

展望臺(tái)に並ぶベンチやテーブルは、陶蕓作家の作品。伊賀の里を見(jiàn)下ろしながら一息つけるとっておきの場(chǎng)所

鍋本體に取っ手をつける工程。雙方の水分量が異なると強(qiáng)度に支障が生じるため、乾燥具合を見(jiàn)極めながら作業(yè)します

集いのためのものづくり

長(zhǎng)谷園のものづくりの精神は、「作り手は真の使い手であれ」という言葉で表現(xiàn)されています?？岛毪丹螭裙缥搐丹螭献陨绀窝u品を毎日使い、新製品のアイデアや改良のヒントを得ています。

“企畫(huà)開(kāi)発會(huì)議”も先代や會(huì)社の仲間とともに長(zhǎng)谷家の食卓を囲んで行われるのだとか。土鍋で調(diào)理したバリエーション豊富な料理を食べながら、そしてお酒を飲みながら、こんな鍋があればうれしい、この製品はもっと改良できないかと、話は盡きることがありません?！?/p>

美味しく料理できるだけでなく、家族で食卓を囲んで楽しめるものを作りたい、と康弘さん。「かまどさん」のほか、卓上で燻製を作れる「いぶしぎん」、食感の良い蒸し料理を味わえる「ヘルシー蒸し鍋」、炭火焼きのように食材をふっくら焼ける「ふっくらさん」など、次々とこだわりの製品を生み出しています。ひとつ世に出すまでには、年単位の時(shí)間をかけることも。長(zhǎng)谷園の製品は土鍋の概念を超え、冬場(chǎng)だけでなく年中活躍する食卓のパートナーになりました。

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使い手の立場(chǎng)で考える

使う人の視點(diǎn)に立つ。この思いは製品開(kāi)発以外にも表れています。ある時(shí)、鍋を購(gòu)入した顧客にアンケートをとると、ほとんどの人は喜んで使ってくれているものの、蓋などが壊れて使っていないという人がいると分かりました。そこで康弘さんは、パーツの販売を始めたいと考えます。パーツ販売は利益が薄く手間もかかるため、業(yè)界ではほぼ例がありません。社內(nèi)でも反対の聲が上がりましたが、自分がお客さんなら販売してほしいと思わないかと説得したそうです。「買(mǎi)ってもらうことが目的じゃない、長(zhǎng)く愛(ài)用してもらいたいんです」

コロナ禍によって家で過(guò)ごす時(shí)間が重視され、手料理の良さが再発見(jiàn)されている昨今。日本各地の家庭で長(zhǎng)谷園の愛(ài)用者が増えています。伊賀の里で始まった美味しい革命は、これからも多くの食卓に笑顔をもたらすことでしょう。