家族や仲間が集うリビングは、ゆったりとくつろげる場(chǎng)所にしたいもの。
たとえ、敷地の広さが限られていても、設(shè)計(jì)次第で開放感のある空間をつくることは可能です。
のびやかで心地よい空間づくりのヒントを、東京大學(xué)大學(xué)院教授の西出和彥先生に伺いました。
広々とした空間づくりのキーワードは「天井高」
たっぷりの日差しや心地良い風(fēng)が入る、広々としたリビングに憧れる人は多いでしょう。ワンルームスタイルのLDKが人気なのも、その表れかもしれません。一方、敷地條件によっては、リビングに望み通りのスペースを確保できないことも。床面積の大小に関わらず、開放感のあるリビングを?qū)g現(xiàn)する秘訣はあるのでしょうか。

「のびやかな空間を考えるとき、まずは床面積のことが頭にのぼるかもしれませんね。しかし、人間はもっと三次元的に空間を把握しており、天井の高さも含めた、空間の“容積感”から部屋の大きさを認(rèn)識(shí)していると考えられます」(西出先生?以下同)。
床面積と天井高を変えられる実大空間モデルで行った、興味深い実験があります。実験では、2つの同じ容積の部屋をつくり、そのうち1つは床面を少し狹くして、その分天井を高くしました。2つの部屋を比較した被験者達(dá)は、床面積が狹く天井が高い部屋の容積の方を、0~10%大きいと感じたそうです(イラスト參照)。「この実験で、容積を知覚する際に、水平方向の広さ(床面積)よりも垂直方向の高さ(天井高)の方が効くということがわかりました。人間の感覚は高さ方向を強(qiáng)調(diào)する傾向があると考えられますから、天井を高くすることで部屋をより広く感じるようになる、といえるでしょう」。


また、同じ距離であっても、見上げる時(shí)は実際より遠(yuǎn)く感じ、見下ろすときは近くに感じるという実験結(jié)果もあるそうです。「人間の生活姿勢(shì)は重力方向と関わっているため、普段の視線はやや下向きです。見下ろすよりも見上げる方が、エネルギーが要るのだと思われます。そのため、天井の高さの変化が、実際以上に大きな影響を與えているとも考えられますね」。部屋をより広く感じられるようにするためには“天井高”が一つのキーワードになるといえそうです。

天井を高くすることは、空間を?qū)g際以上に広く見せる効果があるようです
天井や床の高さに変化をつけて、空間にメリハリを
「日本の家の天井高は2m40cmが一般的となっています。床座の暮らしには良いサイズ感かもしれませんが、今は椅子座がスタンダード。天井の高さには、もっとバリエーションがあって良いと思います」と西出先生。昔に比べて、日本人の平均身長(zhǎng)も高くなっているわけですから、高めの天井高を好む人が増えていても不思議はありません。
「天王洲ビュータワー(東京都品川區(qū)、1995年竣工)という、1.5層住宅で有名なマンションがあります。ここでは住戸の階高を通常の1.5層分とし、天井の高いリビング?ダイニングを?qū)g現(xiàn)しています。以前、入居者にインタビューした時(shí)に “リビングにカラオケセットを置いて、自宅で歌を楽しんでいる”というエピソードがありました。高い天井がもたらす開放感が、わが家で歌いたいという気持ちにさせたのではないでしょうか」。天井の高さは、住み手の気持ちやライフスタイルにも影響を與えるといえそうです。
リビングとダイニングの天井高に差をつけて雰囲気を変える、寢室は天井をあえて低くして落ち著く感じにするなど、目的や空間の性格に応じて変化をつける方法もあります。「歐米に比べて、日本の家は空間のメリハリが少ないように思います。學(xué)生が制作する建築模型も、蕎麥のセイロを重ねたような単純なものが多くて、“もっと立體的に考えなさい”と注文をつけたりするんですよ(笑)」。

天井高に変化をつけたLDK

天井をあえて低くした寢室
床を低くすることで、天井が一層高く感じられます。段差に腰かけたり、低い場(chǎng)所に人が集まるような行動(dòng)も見られるようです
床が數(shù)段下がるような空間の変化も、視覚のみならず心理面への影響があるようです。低くなったところに自然と人が集まったり、段差に腰かけて本を読みたくなったり。「リビングは家族が集まる場(chǎng)所ですが、皆がいつも同じことをしているわけではありません。適度な距離感を保ちながらも、お互いの気配がわかるような空間づくりをするために、天井や床の高さに変化をつけるのも一つの方法でしょう」。
「空間の広がりをどうとらえるかは、人により感じ方が違いますし、図面から想像するのは困難です。たとえば、20畳?天井高2m40cmのリビングとはどのような感じか、天井高が30cm高くなったらどう違うのか、実大の空間で體験するのがベストですね」。
また、窓の大きさや內(nèi)裝など、さまざまな要因でも感じ方は変わります。モデルハウスなどに行き、実際の空間を経験してみることが大切だといえます。「ハウスメーカーからは様々な提案があると思いますが、注文住宅を建てるのなら、お仕著せではなくその良さを?qū)g感し、自分で選んだという意識(shí)を持ちながら建てるべきでしょう。そうすれば、住み始めてからの満足感が違うはずです」。

天井高2m72cmのリビングダイニング。また、連続窓で7m10cmの開口幅を取ることができます(ダイワハウス『xevoΣ』)。
このような空間の広がりや開放感を、実際に経験してみることが大切です
- ※1天井高は2m40cm、2m72cm、さらにグランリビングモア(36cmダウン)と折上天井(8cmアップ)を組み合わせることで、最高3m16cm(1階のみ)まで実現(xiàn)。天井高は間取りや建設(shè)地、建築基準(zhǔn)法(法令)等により対応できない場(chǎng)合があります。
- ※2幅3m45cmの窓を2枚連続で配置可能。プランにより対応出來ない場(chǎng)合があります。また、中間に柱が入ります。
プロフィール

東京大學(xué)大學(xué)院工學(xué)系研究科建築學(xué)専攻 教授
西出和彥さん
建築計(jì)畫學(xué)、特に人間の心理?行動(dòng)に基づく環(huán)境デザイン理論を研究。主な著書に「建築計(jì)畫」(市ヶ谷出版社)、「シリーズ〈人間と建築〉1 環(huán)境と空間」(朝倉(cāng)書店)。






