不動(dòng)産証券化では、実物不動(dòng)産の取得または譲渡の際には不動(dòng)産鑑定士による鑑定評価が義務(wù)付けられています。対象不動(dòng)産の評価は証券化全體の評価につながります。今回は不動(dòng)産鑑定評価について考えます。

投資家保護(hù)を第一義に公正公平な評価が求められる

不動(dòng)産証券化は、不動(dòng)産を小口化してできた有価証券を投資家に販売し、資金調(diào)達(dá)することです。証券化された受益証券は株式や社債と同じ金融商品ですが、J-REITなどの上場不動(dòng)産投資信託を除いては、公開の市場で活発に売買されているものではありません。また、不動(dòng)産は地域によって価格の開きがあったり、需給関係によって実勢価格が大きく左右されます。不動(dòng)産は商品としての個(gè)別性が強(qiáng)く、そのひとつひとつに特有の事情を抱えている投資物件ということができます。一方で、不動(dòng)産証券化は表舞臺(tái)には資金調(diào)達(dá)者と投資家がおり、裏側(cè)には証券化の主體であるSPC（Special Purpose Company：特別目的會(huì)社）をはじめ、不動(dòng)産を擔(dān)保に融資する銀行など、証券化する対象不動(dòng)産の価格に密接なつながりを持つ利害関係者が多く存在します。このため不動(dòng)産証券化においては投資家保護(hù)を第一義にした専門家による公平公正な価格判定が求められます。

さて、不動(dòng)産鑑定評価は、國土交通省が定める「不動(dòng)産鑑定評価基準(zhǔn)」に沿って國家資格を持つ不動(dòng)産鑑定士が行います。その評価方法としては、原価法、取引事例比較法、収益還元法の3種類があります。原価法は、その不動(dòng)産を仮にもう一度建築?造成する場合にいくらかかる（再調(diào)達(dá)原価といいます）のかを割り出すなどして判定する方法です。その次に建築後の経年劣化を減価修正して推定します。取引事例比較法は、対象となる物件の近くに似た物件をいくつか見つけて、個(gè)別事情を勘案したうえで修正を行います。その場合、売り急いだ物件や投機(jī)的な物件は事例から除き、市場価格を判斷します。収益判斷法は、不動(dòng)産証券化で最も用いられている手法です。対象不動(dòng)産が將來生み出すキャッシュフローの多寡を算出して判定します。

図1：不動(dòng)産鑑定評価基準(zhǔn)の評価法

証券化では鑑定士の仕事は多岐にわたる

不動(dòng)産証券化の場合、不動(dòng)産鑑定士は、 SPCなどの鑑定評価を依頼した者だけでなく、投資家にも考慮して適切に鑑定評価し、その結(jié)果を鑑定評価報(bào)告書にまとめます。繰り返しになりますが、証券化では利害関係者が多いので、鑑定士の仕事は多方面にわたります。不動(dòng)産には値札が付いていませんので、資金調(diào)達(dá)したい個(gè)人や法人がSPCに不動(dòng)産を売卻または譲渡する場合（いい換えればSPCが実物不動(dòng)産を取得する場合）、対象物件である不動(dòng)産を金額で評価?表示する必要があります。また、SPCが不動(dòng)産を購入して証券化する際に銀行融資を受ける場合、ノンリコースローン（対象不動(dòng)産に限定した貸付手法）における擔(dān)保評価を行います。証券化におけるノンリコースローンは、SPCが倒産しても不動(dòng)産の所有者（オリジネーター）に融資の返済を迫ることができないので、擔(dān)保評価は重要な役割を擔(dān)っています。

不動(dòng)産証券化では、投資対象となる不動(dòng)産物件が証券化の実行期間（受益権の発行から償還まで）の間に生み出すキャッシュフロー（賃貸収入などからの収益）と、証券化が終了して不動(dòng)産を売卻するときの処分価格を予測して不動(dòng)産価格を決定します。この調(diào)査をデュー?デリジェンス（資産査定）と呼び、鑑定士の大きな仕事です。このほか、運(yùn)用期間中の決算期に実物不動(dòng)産の適正価格に関する情報(bào)開示として不動(dòng)産鑑定が求められます。 鑑定士は、証券化不動(dòng)産の鑑定評価をする場合、評価の基礎(chǔ)資料としてSPCなどの依頼者からエンジニアリング?レポート（ER）を提出するよう求めます。

鑑定士は、証券化不動(dòng)産の鑑定評価をする場合、評価の基礎(chǔ)資料としてSPCなどの依頼者からエンジニアリング?レポート（ER）を提出するよう求めます。ERは本欄の第18回「デュー?デリジェンス」で詳しく述べていますので、參照してください。

図2：不動(dòng)産鑑定士の証券化における業(yè)務(wù)

収益還元法にはDCF法、直接還元法の2つがある

証券化が普及する前の不動(dòng)産取引は、基本的に相対で行われるのが一般的でした。不動(dòng)産が投資対象ではなく、家を建てたり、工場を建てたりすること自體が目的だったので、不動(dòng)産売買は1対1の形式だったのです。そこでは土地の広さ、立地の良さで取引されていたので、取引事例比較法が主流でした。ところが証券化が進(jìn)展すると、対象には土地と建物で構(gòu)成される「複合不動(dòng)産」が増加していきました。そこで収益還元法が広く使われるようになりました。 収益還元法による証券化不動(dòng)産の鑑定評価では、 DCF法、直接還元法の2つを採用することが求められています。DCFは「DiscountCashFlow」の略で、証券化によって対象不動(dòng)産がどれだけの価値を生み出すかを判定する方法です。國土交通省が定めた「証券化対象不動(dòng)産の鑑定評価基準(zhǔn)について」によると、DCF法による?yún)б鎭瘠蚯螭幛雸龊悉水?dāng)たっては、利回りや割引率、収益および費(fèi)用の將來予測など査定した個(gè)々の項(xiàng)目に関する説明が必要になります。こうした數(shù)値資料を基に収益価格を求めて鑑定評価報(bào)告書に記載します。

DCF法の収支項(xiàng)目

國土交通省「証券化対象不動(dòng)産の鑑定評価基準(zhǔn)について」より

2002年に証券化対象不動(dòng)産の鑑定評価基準(zhǔn)が改正され、収益還元法は「直接還元法」とこのDCF法の2つが位置付けられています。直接還元法は、不動(dòng)産が生み出す一期間の純収益を還元利回りで割ったものが不動(dòng)産価格（収益価格）になります。還元利回りとは、不動(dòng)産から得られる投資利回りのこと。例えば1000萬円投資して50萬円の利益があれば投資利回り（還元利回り）は5％。算出するには周辺地域の取引事例や不動(dòng)産會(huì)社などが公表しているエリアごとのデータを參考に割り出します。

例えば1年間の収益が200萬円、経費(fèi)が40萬円、還元利回りが5％と査定された不動(dòng)産の場合、純収益は200萬円－40萬円＝160萬円。上記の公式に當(dāng)てはめると、不動(dòng)産価格は160萬円÷0.05＝3200萬円になります。

DCF法は、計(jì)算式が難しいので省略しますが、將來のキャッシュフローと売卻時(shí)の予想価格を現(xiàn)在の価格に割り引いて、その合計(jì)を不動(dòng)産価格にする方法です。將來の価値は保証されるものではないとの考え方に立ち、現(xiàn)在価値を割り引くということです。つまり現(xiàn)時(shí)點(diǎn)での將來価格は、常にディスカウント（割引）するという考え方に基づいているわけで、きわめて合理的な発想といえるのではないでしょうか。

DCF法は、証券化不動(dòng)産の鑑定評価だけではなく、企業(yè)買収で買収価格を決める際の評価方法として定著しつつあります。買収によって生まれる相乗効果など、將來の企業(yè)価値に焦點(diǎn)を當(dāng)てる評価方法だからです。

不動(dòng)産証券化は、多くの利害関係者によって履行され、その収益は不特定多數(shù)の投資家に分配されます。それだけに、証券化の主役である対象不動(dòng)産の価値を決める鑑定評価は、証券化の成否を左右する重要な役割を擔(dān)っているといえます。