家庭のCO₂を"66%"も減らさないといけない

第一弾となる今回のテーマは「デコ活」です?！弗钎郴睢工嚷劋い?、「？」が浮かんだ方のほうが多いかもしれません。それもそのはず、デコ活は2023年7月に環(huán)境省によって発表された、比較的新しい言葉なのです。

環(huán)境省によれば、「脫炭素につながる新しい豊かな暮らしを創(chuàng)る國民運(yùn)動」の愛稱。デコ活の"デコ"とは「二酸化炭素（CO₂）を減らす（DE）脫炭素（Decarbonization）と、環(huán)境に良いエコ（Eco）」からなる造語です。

つまり「日々の暮らしにおけるさまざまな取り組みで、二酸化炭素を減らそう」ということです。

ご存知の通り、現(xiàn)在、世界的にCO₂の削減が積極的に進(jìn)められています。日本は世界で約3.2％排出している第5位の「CO₂排出大國」。政府は2030年までに46％のCO₂削減（2013年比）を打ち出し、2050年には溫室効果ガスの排出を全體としてゼロにする「カーボンニュートラル」を目指しています。

その中で、私たちの生活に関わりのある"家庭部門"では、2013年比で2030年までに66%もの排出量削減が必要とされています。

ただ、「日常生活でカーボンニュートラルを目指そう！」と、家庭での削減を提案したところで、自発的なCO₂削減はなかなか難しいのが現(xiàn)実。そこで政府は「デコ活」普及のため、高斷熱な省エネ住宅やEV促進(jìn)の助成?補(bǔ)助金などに2940億円もの予算（令和5年度補(bǔ)正予算及び令和6年度當(dāng)初予算案）を確保しました。

大きな予算を割いて政府が打ち出そうとしているデコ活。ここからは、本當(dāng)に浸透するのか、目的はどんなところにあるのか？ など、ニッセイ基礎(chǔ)研究所の小原一隆さんに聞いていきます。

デコ活浸透のカギは「無理なく」と「お得感」

まずは「デコ活」の特徴を教えてください。

小原　私たちの生活の中で脫炭素に向けた行動の後押しをしたいという観點(diǎn)から、具體的にとりうる選択肢に加えて"數(shù)値"を掲載している點(diǎn)でしょうか。環(huán)境省のデコ活のウェブサイトには「毎日のテレワークでガソリン代が年間約6萬1300円お得。通勤時間を年間約275時間削減し、団らんや趣味の時間に」、「住宅の斷熱化で光熱費(fèi)が年間約9萬4000円お得。寒暖差が少なく快適で健康にも貢獻(xiàn)」など、「新しいライフスタイルのお得感と健康増進(jìn)等の利點(diǎn)」を明示しています。

実はこれまでもデコ活に似た取り組みとして、直近では2015年にスタートした「COOL CHOICE（以下、クールチョイス）」という取り組みがありました。「クールチョイス」では一部領(lǐng)域での金銭的メリットの提示はありましたが、全體的に「賢い選択をしてゼロカーボンアクションに取り組みましょう」というメッセージの提示にとどまっていました。

デコ活では、非常に多岐にわたる場面での金銭的なメリット等を提示しています。日常的にできる範(fàn)囲（銅）から、住宅の建て替えや車の買い替えなど、機(jī)會があれば利用を推奨する（金?銀）など、導(dǎo)入の頻度は異なりますが、ここまではっきりとメリットを打ち出せば「ちょっとやってみよう」という気になる人はいるかもしれません。

政府主導(dǎo)の運(yùn)動で一般的になったものといえば、「クールビズ」を思い出します。デコ活はクールビズのように根づくのでしょうか？

小原　浸透のカギは"無理なく、當(dāng)たり前に続けられるかどうか"でしょう?！弗`ルビズ」は、極端に言うとネクタイを取り、ジャケットを脫ぐだけで実現(xiàn)できます。ほぼ負(fù)擔(dān)なく気軽に取り組めました。

ですが「プレミアムフライデー」は根づきませんでした。月末の金曜日、15時に一斉に退社するのはなかなか難しいですし、同じ社內(nèi)でも部署や職種によって、仕事が終わる時間も異なりますから、不公平感も出たでしょう。デコ活も無理なく続けられることが根づく秘訣かもしれません。

先進(jìn)國こそ、CO₂削減に取り組む理由

日本はCO₂排出國世界第5位の「CO₂排出大國」です。でも數(shù)値で見ると全體の約3.2%。日本だけ頑張ってもあまり意味がないのでは…。

小原　確かにおっしゃる通り、中國とアメリカだけで世界の約45％のCO₂を排出しています。ですが、忘れてはいけないのは、産業(yè)革命以降、CO₂の排出とともに経済発展してきたのが今の先進(jìn)國であるということです。環(huán)境に負(fù)荷をかけることで成長してきた先進(jìn)國は、より重い責(zé)任を負(fù)っているのではないでしょうか。

國連によれば、2023年6月時點(diǎn)で世界で149カ國がネットゼロの目標(biāo)を設(shè)定しています。日本よりも排出量がはるかに小さな國々も、ネットゼロを表明していますので、日本が頑張ることは非常に重要です。

また、カーボンニュートラルを目指すことで日本の新たな成長につながることも考えられますから、前向きに取り組むべきでしょう。

具體的にどのような成長戦略があるのでしょうか？

小原　かつては、企業(yè)が社會的責(zé)任を果たすことと利潤追求は同時に成立しないものと考えられてきましたが、必ずしもそうではありません。政府は、2050年カーボンニュートラルに向けた基本的考え方として、地球溫暖化対策は経済成長の制約ではなく、経済社會を大きく変革し、投資を促し、生産性を向上させ、産業(yè)構(gòu)造の大転換と力強(qiáng)い成長を生み出すカギである、としています。

身近なところでは、エコ家電や省エネ住宅、エコカーというマーケットが創(chuàng)出されて久しいです。デコ活で紹介されている補(bǔ)助金制度の活用を通じ、該當(dāng)する製品の人気が高まり、消費(fèi)が増えれば経済にはプラスとなりますし、國際的な競爭力もついていくことも期待されます。

日本ではまだ歐米等と比べて経済規(guī)模は小さいですが、世界的にESG投資（環(huán)境：Environment?社會：Social?ガバナンス：Governanceの頭文字。非財務(wù)情報であるESGの要素を考慮する投資を指す）に注目が集まっています。環(huán)境に配慮することと利潤追求は背反するものではなく、共存するという考え方が主流になってきているのです。

政府はGX（グリーントランスフォーメーション／化石エネルギーを中心とした現(xiàn)在の産業(yè)構(gòu)造?社會構(gòu)造を、クリーンエネルギー中心へ転換する取り組みのこと）の投資額を、官民合わせて今後10年間で150兆円超と打ち出しています。

デコ活の影響度は正直未知數(shù)ですが、あの手この手で、カーボンニュートラルの実現(xiàn)を目指すはずです。今後も間違いなくカーボンニュートラルは注目の領(lǐng)域になりそうです。