どちらが"善"か"悪"かではない

井上さんのそのスカーフ、素?cái)长是嗌扦工汀?/p>

これはパレスチナのスカーフ「ケフィエ」です。この白黒バージョンは、PLO（パレスチナ解放機(jī)構(gòu)）執(zhí)行委員會(huì)議長(zhǎng)であり、パレスチナ國(guó)初代大統(tǒng)領(lǐng)であるヤーセル?アラファートが巻いていた印象が強(qiáng)いかもしれません。

パレスチナの伝統(tǒng)品ですが、あえて"中道＝どちら派でもない"という意味を込めて、青色を選びました。このスカーフを巻いていると、パレスチナの人もイスラエルの人も穏やかに接してくれます。

僕たちは「どちらが善でどちらが悪なのか」を発信したいわけでも、プロパガンダでもなくて。"かっこいい"から商品を手に取ってほしいですし、一著一著の服の背景にあるストーリーを通じて、著る人たちのマインドが少しシフトしたら嬉しいと、ファッションという"手段"を選び活動(dòng)してきました。

こうして、色を変えるだけのシンプルな方法で、メッセージや意味が変わるのもおもしろいですよね。このスカーフは僕にとって、人々が共に生きていくために重要なことを教えてくれるリマインダーになっています。

周りの幸せが実現(xiàn)しないと、自分の幸せは完成しない

パレスチナといえば、ザ イノウエブラザーズとして「タトゥリーズプロジェクト」も欠かせないモノですよね。このプロジェクトについても少し聞かせてください。

2012年5月にイスラエルの軍事占領(lǐng)下にあるパレスチナ自治區(qū)を初めて訪れ、長(zhǎng)い間続いてきた民族間の紛爭(zhēng)を目にし、パレスチナとイスラエル、この2つの民族が共存していかなければいけないと考えました。パレスチナ自治區(qū)に暮らす女性たちによる手刺繍"タトゥリーズ"を通じてパレスチナの文化を世界に伝えるべく、「タトゥリーズプロジェクト」が始まったんです。

©ADISH

一時(shí)、中にいる権力者たちが共存を、若者たちが変化を望んでいない限りは、僕たちにできることはないと身をもって感じて、プロジェクトを休止していました。ですが2020年、イスラエル人とパレスチナ人の20代の若者たちが手をとって立ち上げたブランド?ADISH（アディッシュ）と出會(huì)って希望を見(jiàn)出しました。

井上さんが著用しているハーフパンツはADISHのもの。

僕たちとADISHは共にプロジェクトを進(jìn)めるようになりましたが、 2023年10月7日にパレスチナのガザ地區(qū)を支配するハマスがイスラエルを攻撃したことにより?duì)顩rは一変し、今もプロジェクトは休止せざるを得ない狀態(tài)が続いています。

自分の周りが幸せではない限り、僕も100％は幸せにはなれないと思っています。だから、実は今は人生で一番精神的に苦しいかもしれない…。僕の子どもたちにそのことを説明して、クリスマスもお正月もお祝いしませんでした。「今世界でこういうことが起きているんだよ」と話すと、すぐに納得してくれましたね。

僕がファミリービジネスを選んだわけ

お子さんたちをはじめ、ご家族は理解者であり同志なんですね。

ザ イノウエブラザーズは弟の清史と始めたプロジェクトですが、妻のウラの存在もとてつもなく大きいです。僕らの日本でのルーツは大阪にありますが、日本での會(huì)社を大阪においているのもそれが理由。心強(qiáng)いファミリーがサポートしてくれています。

弟の清史さんと。©ROBERT LAWRENCE

幸せを一番感じさせてくれるのは、やはり家族の存在です。仕事を一生懸命に頑張れば頑張るほど、家族との時(shí)間が削られるのではいくら働いても幸せになれない。今もすぐ子どもたちとコミュニケーションを取れる環(huán)境を作っていて、子どもたちも「お父さんは家族より仕事の方が大事だ」と感じたことはないんじゃないかな。

僕にとっては、できるだけ家族との時(shí)間を優(yōu)先するのが大切で、ザ イノウエブラザーズとして目の前の課題に向き合い続けられる秘訣ですね。