建築における「真?行?草」の概念をご存じですか？落ち著いた印象の空間をつくる和のデザインを取り入れてみましょう。

上寫真）草庵茶室の流れをくんだ「草」の和室。主が座る席は低めの天井に質(zhì)素な雰囲気の素材を用い、客人の席には杉板を張ることで、もてなしの心を表現(xiàn)します。

日本家屋の歴史を紐解くと、平安時(shí)代の貴族は「寢殿造」の邸宅に暮らしていました。空間を分ける壁や扉はなく、床は板の間。外と內(nèi)は蔀戸（しとみど）という跳ね上げ式の建具1枚で仕切られていました。

現(xiàn)代の本格和室の原型となる「書院造」が確立したのは室町時(shí)代。武家が暮らす書院造の屋敷は床全體に畳が敷かれ、床の間や書院のしつらいがあり、襖などの引き違い戸で部屋が仕切られるようになりました。上下関係の厳格な武家社會(huì)を投影し、上座?下座の概念も生まれました。

こうした武家社會(huì)のあり方に異を唱え、茶室において人は平等であると考えた千利休は、安土桃山時(shí)代に草庵茶室の様式を完成させます。質(zhì)素な茶室のしつらいには、人は見(jiàn)た目ではなく內(nèi)面を磨くべきだという理念が映し出されています。意匠的に自由な茶室は、江戸時(shí)代に入ると武家や公家にも広まっていきました。

ところで、書道に「真書（楷書）?行書?草書」があるように、建築にも「真?行?草」の概念が存在します。「真」が書院造の本格和室。柱などの構(gòu)造材をあらわして仕上げる真壁や床柱には角材が用いられます。茶室のように様式を崩していくと「行」「草」となり、柱を見(jiàn)せない大壁の仕上げや、丸柱、あるいは木肌を殘した床柱などが使われます。

現(xiàn)代の住まいには、地域性や住む人の好みに合わせて、和室に限らずさまざまな和のデザインが取り入れられています。落ち著いた印象の空間をつくる和のデザインを取り入れてみませんか。

■低い視線

日本家屋の伝統(tǒng)は、低く座する生活スタイル。低い位置に窓を設(shè)けたり、床を一段下げたり高さを抑えた家具を選んだりすることで、重心が下がり、包み込まれるような安心感を得られます。

■外とのつながり

外の風(fēng)景を住まいの中に上手に取り込むのが、和のデザインの特徴です。庭に向かって大きく開(kāi)いた窓によって內(nèi)と外の境界をあいまいにし、自然と一體感のある暮らしを楽しめます。

■光のデザイン

自然光を上手に取り入れる日本家屋の伝統(tǒng)にならい、和室は障子越しの光などでできるだけ柔らかく。照明は床にスタンドを置くなど重心を下げることで、落ち著いた和の雰囲気が生まれます。

■離れ風(fēng)の和室

玄関から土間を通って和室へ向かう動(dòng)線をつくったり、入り口を少し低くして特別感を持たせたり。和室への入り方を演出することで、離れのような雰囲気を表現(xiàn)できます。