家は海に浮かぶ船
―スールー諸島のサマ?ディラウト―

地球表面の海洋と陸地の面積の割合は、おおよそ7:3。3割の陸地の部分に、世界の大多數(shù)の人びとが暮らしています。しかし、世界には広い海の上に家を持つ人びともいます。彼らは海に浮かぶ船の上で生まれ、海を遊び場(chǎng)として育ち、親の漁を手伝いながら大人になります。そして結(jié)婚とともに獨(dú)立し、親の船を離れて自分の船で新しい家族とともに暮らすことを伝統(tǒng)的に営んできました。一生のほとんどを海に漂って生活する、そんな人びとの住まいである家船を紹介します。

フィリピン南部のスールー諸島は、ミンダナオ島南西部からボルネオ島北東部の間にあり、958の島々が鎖（くさり）のように連なっています。このあたりの海は比較的おだやかで、真珠母貝やナマコなど豊富な海産物に恵まれた漁場(chǎng)として知られています。

ここに、船を家にする人々「サマ?ディラウト（海のサマ）」が暮らしています。サマ?ディラウトはこの豊かな海で親戚や家船仲間と協(xié)力して漁をし、とれた海産物を陸上の市場(chǎng)で売って生計(jì)を立てています。サマ?ディラウトの食事は漁で手に入れた魚のスープのほか、蒸したキャッサバなどがありますが、主食のキャッサバや米などの食物や生活用品は、町の市場(chǎng)で手に入れます。魚の仲買人との間で海産物と生活必需品を直接交換するなど、さまざまな面で陸地の住人とのつながりを持っています。島にも時(shí)おり上陸し、貴重な水分となる若いココヤシの実や木などを手に入れます。