近年、気候変動の影響もあり、自然災(zāi)害による被害が甚大化しつつあります。災(zāi)害による被害を最小化するためには、平常時から被害を予測して施設(shè)?設(shè)備の強靭化を図る防災(zāi)に加え、災(zāi)害時における企業(yè)や自治體の事業(yè)活動の継続を図り、社會や経済の安定性を確保し、市民の生活基盤を守ることも大切な取り組みです。

甚大化する自然災(zāi)害の狀況

ここ10年間の自然災(zāi)害をみると、平成23（2011）年の東日本大震災(zāi)の津波被害は例外としても、年々甚大化、広域化する傾向にあります。平成30（2018）年7月豪雨（西日本豪雨）では、6月下旬に臺風(fēng)7號が通過した後、7月上旬にかけて梅雨前線が停滯したことで、西日本から中部地方、北海道にかけた広い範(fàn)囲で水害が発生し、その被害総額は約1兆2,150億円に上りました。また、令和元（2019）年東日本臺風(fēng)では、最低気圧915hPaというかつてないレベルの臺風(fēng)19號が10月中旬に伊豆半島に上陸、死者84名、行方不明者3名、負傷者376名、被害総額は統(tǒng)計開始以來最大の約1兆8,600億円を記録しました（國土交通省、令和2（2020）年8月21日発表）。さらに、気象による自然災(zāi)害とは言えませんが、令和元（2019）年より拡大している新型コロナウイルス感染癥の世界的流行（パンデミック）は、収束の見通しさえつかない事態(tài)となっており、その被害総額は計り知れないところです。これらの災(zāi)害は、いずれも過去の経験値では予測が難しく、事前の予防が困難であるものと言えます。
一方で、市民や企業(yè)の社會?経済活動の停滯を最小限にとどめ生活基盤を守るためには、非常時であっても事業(yè)を継続することが求められます。そのため、平常時より、非常時に備えた企業(yè)や自治體の行動指針である「事業(yè)継続計畫（BCP：Business Continuity Plan）」を策定することが極めて重要であると言えます。

事業(yè)継続計畫（BCP：Business Continuity Plan）の意義

事業(yè)継続計畫（BCP）とは、災(zāi)害時に企業(yè)等の重要業(yè)務(wù)が中斷しないこと、萬一事業(yè)活動が中斷した場合には、短期間で重要な機能を再開させ、業(yè)務(wù)中斷に伴う顧客取引の競合他社への流出、マーケットシェアの低下、企業(yè)評価の低下などから企業(yè)を守るための経営戦略。バックアップシステムの整備、バックアップオフィスの確保、安否確認(rèn)の迅速化、要員の確保、生産設(shè)備の代替などの対策を?qū)g施する計畫のことです。つまり、災(zāi)害時には「最速の復(fù)舊を図る」考えに加えて、「事業(yè)の継続を優(yōu)先して復(fù)舊する」ことに重きを置いたものと言えます。
2020年3月に內(nèi)閣府が公表した「令和元年度企業(yè)の事業(yè)継続及び防災(zāi)の取り組みに関する実態(tài)調(diào)査」によれば、事業(yè)継続計畫（BCP）の策定狀況は、大企業(yè)では8割以上、中堅企業(yè)では5割以上が、「策定済み」あるいは「策定中」となっており、大企業(yè)、中堅企業(yè)ともに、その比率は年々高まっています。大企業(yè)を中心に、BCPの策定は進んできている狀況と言えるのではないでしょうか。ただし、「リスクへの対応を?qū)g施していく上での課題」としては、全ての規(guī)模の企業(yè)において「自社従業(yè)員への取り組みの浸透」が80％を超えており、従業(yè)員一人ひとりの意識付けには課題が殘っているようです。

國は、2005年より「事業(yè)継続ガイドライン」を策定、2019年7月には「中小企業(yè)の事業(yè)活動の継続に資するための中小企業(yè)等経営強化法等の一部を改正する法律」（中小企業(yè)強靱化法）」が施行され、BCP認(rèn)定制度など企業(yè)等の事業(yè)継続計畫（BCP）支援施策が盛り込まれました。現(xiàn)在のところ、事業(yè)継続計畫（BCP）策定を義務(wù)化する法律はありませんが、企業(yè)等の事業(yè)活動が停滯することにより、地域住民に必要な物資の供給や移動手段が斷たれ、市民生活に大きな影響を與えてしまいます。そのことから、企業(yè)等が事業(yè)を継続することで生活インフラを維持するという社會的な意義は大きく、事業(yè)継続計畫（BCP）の更なる普及が期待されます。

災(zāi)害の広域化、多様化への対応

近年の災(zāi)害は甚大化に加え広域化する傾向にあり、また自然災(zāi)害のみならず感染癥やテロへの対応、環(huán)境問題に端を発した省エネルギー、脫炭素への対応など、事業(yè)継続に関して考慮すべき課題は多様化しています。一方、企業(yè)等の國際化や交通機関の発達により、物流、人流は年々活発になっており、多様化する災(zāi)害に対する企業(yè)や自治體単獨での非常時対応は難しくなっています。これまでの社會?経済活動は、物流や人流を増やすことによって循環(huán)し発展してきましたが、それを抑制する近年の動きは各業(yè)界、自治體に大きな混亂を生み、実際に企業(yè)や自治體の間で、リスクへの対応格差が生じているようです。
このような狀況をみると、企業(yè)や自治體、あるいは地域単位で、將來想定されるリスクを平常時より共有し、連攜して社會活動を長期的に継続させる仕組みを考える時期に來ているように思えます。
難しいことではありますが、多様化、広域化する社會的リスクを回避し持続可能でレジリエントな社會を?qū)g現(xiàn)するために、自治體を超えた広域での公民連攜による事業(yè)継続計畫を策定し、地域の再編成、再開発を中長期的に進める必要があるのかもしれません。